アメリエフの技術ブログ

Amelieff Staff Blog

小さな彼らの恋愛事情

卒業研究のテーマが「ショウジョウバエの求愛行動」だったhatです。

ショウジョウバエの仲間には多数の近縁種がいますが、それぞれオスの求愛行動が微妙に異なります。
この求愛行動の違いが種分化に関係していると考えられています。
「交尾をしなくなる」→「だんだん遺伝的に遠くなる」→「別の種になる」という説です。

先日、ショウジョウバエの求愛行動がRNA-editingにより調節されているという論文が発表されました。

Savva YA, et.al
Auto-regulatory RNA editing fine-tunes mRNA re-coding and complex behaviour in Drosophila.
Nat Commun. 2012 Apr 24;3:790. doi: 10.1038/ncomms1789.


RNA-editing(RNAエディティング)とは、mRNA上の塩基を酵素が編集することによって、ゲノムに書かれていたのとは違うアミノ酸がコードされるようになるしくみです。
ショウジョウバエのゲノムサイズは200Mbpもありませんので、限られた遺伝子の中で求愛行動を複雑化するには、RNA-editingのような付加的なしくみが必要なのかもしれません。よくできているものだと感心します。

ところでショウジョウバエの求愛行動はどのようなものだと思いますか?

オスがメスを追い掛け回した後、オスが羽を震わせて求愛歌と呼ばれる旋律を奏で、それを聞いてメスが「いいな」と思うと交尾に至ります。
音楽で愛をささやくなんてロマンチックですね!

ちなみに、ショウジョウバエの性行動を支配しているfruitlessという遺伝子に、ある種の変異が起きたオスは、メスに興味を示さなくなり、オスに求愛するようになるそうです。satori(悟り)変異体という名前がついています。

そのうち、「さなぎにしか興奮しない」とか「2次元にしか関心がない」とかいった変異体も出てくるかもしれないですね。