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Exome家系解析論文

Plos Oneに出ていたExome家系解析の論文をご紹介します。

Wu CC, Lin YH, Lu YC, Chen PJ, Yang WS, Hsu CJ, Chen PL.
Application of massively parallel sequencing to genetic diagnosis in multiplex families with idiopathic sensorineural hearing impairment.
PLoS One. 2013;8(2):e57369. doi:10.1371/journal.pone.0057369.

解析手順は以下の通りです。
1.難聴12家系について、既知の難聴遺伝子(80)およびその周囲をエキソンキャプチャ
2.HiSeq2000 100bp Paired-Endでシーケンシング
3.BWAでヒトゲノムhg19にマッピング
4.GATKでSNVとIndelを検出
5.VariantToolsで変異を絞り込み
6.ANNOVARでアノテーション
7.絞り込み
・1000Genomes ProjectやESP5400におけるアレル頻度
・SIFTやPolyPhen2のスコア
・変異箇所のアミノ酸の進化的保存度

最終的に、既知の変異2つと、新規の変異2つが検出できたそうです。

それら以外の変異も検出されたのですが、
「疾患群以外でもアレル頻度が高い」
アミノ酸置換による影響が少ない」
「症状の重さやタイプ(低音域が聞こえづらい、など)が異なる」
などの理由で「難聴には無関係の変異」と判断しています。

難聴のように原因遺伝子が多数あり、症状も一律でない疾患の場合は、単に「患者に共通する変異」でなく「同じ症状の患者に共通する変異」を見る必要があるのだということが、発見でした。

当たり前のことなのですが、その疾患について知っているほうがより適切なフィルタリングができると思います。
シーケンシングデータだけを見ているとこの辺を見落としがちなので、お客様から伺えた範囲の疾患やサンプルの情報を活用し、有効な解析結果をご提供できるようにしていきたいです。