統計の検定手法にはいろいろありますが、
「こういう場合は××検定を使うのが良い」と言われているものを
そのまま使っている方が意外と多いのではないでしょうか
(私もそうです)。
もっと統計への理解を深めたいと思って本屋さんに行ったところ、
生物統計学の著者によって書かれた本書を見つけました。
p値とは何か 統計を少しずつ理解する34章
竹内 正弘,竹内 正弘
いいなと思ったのが例えのわかりやすさです。
例えばウィルコクソンの符号順位検定もt検定も、2群間に差があるか
調べるのに使いますが、本書では「順位」で比較するウィルコクソンの
符号順位検定を「スポーツ(1位との間が僅差でも2位は2位)」に、
「値」で比較するt検定を「ビジネス(業界ランクより業績が大事)」
に例えていて、なるほどと思いました。
また、帰無仮説を説明するのに、寝る前に歯を磨かない息子の
エピソードが出てきます。
息子が歯を磨いたか検証したい(本人はさっき磨いたと主張している)
↓
「息子は歯を磨いた」という帰無仮説を立てる。
洗面所に行き、息子の歯ブラシを触ってみる。乾いている。
さっき磨いたなら乾いていることはまずありえない。
帰無仮説は棄却される。
↓
息子は歯を磨いていない
恥ずかしながら私はこれを読んで初めて心から帰無仮説を理解できた
気がしました。
この他にも、「スペックがいいのになぜか結婚できない友人の話」や
「平均年収を出しているところにビル・ゲイツが来たら?」など、
楽しいエピソードとユニークな挿絵を楽しみながら
統計に親しめること間違いなしの一冊です。
1章1章は短くてどこからも読め、巻末にはより理解を深めるための
ディスカッションもあります。
ただ、Amazonのレビューによると誤訳が多いとのことなので、
原著のWhat is a p-value anyway? 34 Stories to Help You Actually Understand Statisticsもぜひ読んでみたいと思います。