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アメリエフのブログ

Amelieff Staff Blog

誰でもわかる(と思う!)LTR解析 その2

バイオインフォマティクス
LTR解析について連載するとか言っておきながら何ヶ月たったことか・・・
どうもmisawatです。大丈夫です。生きてます。

さて、期間が大分空いてしまいましたが、第二回として
「LTRの研究事例」
について紹介していきたいと思います。

やはり「どんなことがわかるのか!」ってのが知りたいとこですよね。

さて、少しおさらいですがLTRはレトロトランスポゾンのRNAの両端に存在する繰り返し配列のことでした。
さらに、この領域はプロモーターとしての機能を有するというのも前回お話したとおりです。
これらの前知識を持った上で、実際にpublishされた論文を紹介していこうと思います。

まず一報目。
CAGE profiling of ncRNAs in hepatocellular carcinoma reveals widespread activation of retroviral LTR promoters in virus-induced tumors
Kosuke Hashimoto et al., Genome Res, 2015, 25, 1812-1824

主にnon-coading RNA(以下ncRNA)の研究をされているグループが2015年にGenome Research誌に出した論文です。
背景としてncRNAとガンとの関係性が日々とりざだされていますが、ガンとは多様なもので、その部位、癌腫等によって全く違うメカニズムを有していたりします。
よって、「〜ガンとncRNAの関係」の「〜」の部分が大変重要なんですね。

この研究では肝細胞癌とncRNAの関係性について調べています。
肝細胞癌B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる肝炎からの発症が多い病気です。
その他の原因としてはアルコールとかですかね。

聡明な皆様ならもうLTRとの関連がわかったかもしれませんね。
そう、この論文のリザルトの中には
肝細胞癌においてLTRプロモーターが活性化されていた」
「LTRに由来するncRNA発現増加量は通常の10倍以上であった」
というのがあります。

LTRの研究は癌研究にもつながっていくんですねぇ。
ちなみにこの論文はCAGE(Cap Analysis of Gene Expression)法を用いた肝細胞癌の転写開始地点及び発現増強部位の特定を行うところがからスタートしています。
手法としてもとてもためになる論文なので一度読んでみると良いかもしれないですね。



次に二報目。
MMTV/LTR Promoter-Driven Transgenic Expression of EpCAM Leads to the Development of Large Pancreatic Islets
Jeffrey R. Vercollone et al., J Histochem Cytochem August 2015 vol. 63 no. 8 613-625

先ほどは肝臓、今回は膵臓のお話ですね。
ここではガンの話ではなく、膵臓ランゲルハンス細胞の接着、分化、成長について調べています。
膵臓ランゲルハンス細胞の接着、分化、成長はEpCAMという遺伝子によって調節されているらしいです。

この遺伝子はマウスにおいてMMTV(Mouse mammary tumor virus)のLTRの支配下にあるんだそうです。
ガンとかではなく、細胞の成長分化にまで関与してしまうLTR・・・こわいですね!!

論文の内容としてはin vivoでEpCAMのValidationを行いました!という論文のようです。
in vivo・・・大変ですよねぇ。



最後に三報目。
結構長くなってきているので巻きで行きます。
Quantification of Total and 2-LTR (Long terminal repeat) HIV DNA, HIV RNA and Herpesvirus DNA in PBMCs
Massanella, M. et al., BioProtoc., 2015, 5(11), e1492.

これは論文というか、手法紹介に近い論文?ですね。

HIVにかかると、日和見感染と呼ばれる「普段はなんともないようなウイルスや細菌に感染する」現象が起こります。
日和見感染の代表的なウイルスにCMV(Cytomegalovirus)やEBV(Epstein‐Barr virus)などがあげられますね。
医学系の教育を受けた方なら「EBV」=「伝染性単核症」といった関連付けがされるのではないでしょうか。

この論文では、HIV潜在的な貯留量を計測し、CMVやEBVとの関係性を見る手法を紹介しています。
定量自体はdroplet digital PCRという手法を用いています。
ターゲットはもちろん末梢血の単核球分画です。

「LTRの有無」ではなく、定量情報で議論できるのはいいですね。


さてさて、今回はLTRに関する論文を三報程紹介してみました。
やはりウイルスが絡むと研究の色が一気に医学よりになりますね。
それだけ応用が期待される研究分野だということなのかもしれません。


次回は・・・、いよいよ分析とかの話にはいりたいですね〜。
果たしていい公開データや紹介できそうな優良な分析ツールはあるのか!
乞うご期待です。。。




いや、やっぱりそんな期待しないでくだs・・・






〜つぶやき〜
最近、愛車にアルミテープを貼りました。
こういうオカルトチック(?)なテクノロジーが大好きです(生命科学においても)。