アメリエフの技術ブログ

Amelieff Staff Blog

がん免疫治療法と国際的がんプロジェクト

アメリエフは月一回の頻度で広報誌「AmeliPress」を発行しております。その内容を今月からブログでも配信することになりました。 今回は2月号の内容になります。

NGS技術と国際的がんプロジェクト

 NGS 技術は利用の裾野が広がり、多様な遺伝子研究において活用されています。その中でも、がんの研究や治療での活用の例を一部を挙げると、WGS を用いた体細 胞変異解析やコピー数解析、主要ながん遺伝子に注目してactionableな変異を探索するtargeted-sequencing、 RNA-seqを用いた融合遺伝子検出などがあります。ICGC (International Cancer Genome Consortium)、TCGA (The Cancer Genome Atlas) など膨大な量のクリニカル なゲノミックデータの蓄積も進んでいます。しかし、actionableな変異が必ず見つかるとは限らずまたがんは免疫チェックポイントの働きを促進することにより免疫システムの標的を逃れることもわかってきました。

がん免疫治療法と統合解析

 最近では、がん免疫治療法における NGS データ活用も期待されています。たとえば、がん細胞と正常細胞のNGS(ゲノムシーケンスや RNA-seq)を用いて体細胞変異を検出し、体細胞変異を持つ細タンパク質(neoantigen)を予測することで、がん細胞特異的な neoantigen を認識して攻撃するT細胞を作成することが考えられます。また、RNA-seq データを同時に使用することで、がん細胞で発現しているタンパク質を選択することができます。予測した neoantigenは、BIMASE、SYFPEITHI、NetMHCpanなどのツールを使用し、患者のタイピングされたHLA アリルとの親和性を予測することが可能です。この HLAのタイピングについても、HLAminer、Seq2HLA、PolysoverなどのNGS データを用いたタイピングツールが開発されています。

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図 次世代シーケンサデータ統合による neoantigen 候補及び MHC 親和性の予測

出典:Hackl et al., Nature reviews genetics, Vol.17, Aug 2016.Fig4