2019年6月25日〜27日に行われた 第13回国際ゲノム会議に社員が参加いたしました。
The 13th International Workshop on Advanced Genomics
会議のテーマ "Genome to Health" のとおり、ゲノムやシーケンス情報を疾患の解明・治療に役立てるというテーマで、
データベースの現状や、最新のシーケンス技術を駆使した研究、今後の展望について
様々な興味深い発表が行われました。
アメリエフのブログでは、複数回に分けてレポートをお届けします。
本日は ① バイオバンク・データベースについてです。
100,000 ゲノムプロジェクトを始めとして世界をリードするUKから複数の研究者が参加され、
データベースの取り組みについての発表が行われました。
データの活用
多くの研究者が解析に参加することができ、
疾患の原因となる変異を探すほか、
一部のプロジェクトでは、希少な変異がある人々に連絡を取り、詳しくphenotypeを調べることまでもできるそうです。(!!)
数値的根拠は無いのですが、発表を聞いていて、外国ではデータ提供者(参加者)の抵抗感が少ないのかなと感じました。
その理由ですが、
・個人に結果レポートが返される
・集まったデータが個別化医療や疾患研究の推進に役立つことがアピールされ知られている
などがありそうだと思いました。
-omicsデータ
研究目的によって必要なデータは異なりますが、
データベースの多くはWGS やWESといったゲノムデータのほか、 トランスクリプトームや代謝産物などのデータ(いわゆる"-omics")も有しており、
様々な次元のデータを組み合わせることで、疾患の原因となる変異をより見つけることができそうです。
他のセッションでもマルチオミクス解析の話題があり、その広がりと重要性を感じられました。 弊社でも試行錯誤中ではありますが、多様なデータを活用すべく今後も力を入れていきます。
データベースの紹介
以下のデータベースが紹介されました。
100,000 genomes project: NHS England » 100,000 Genomes Project
UK National Health Serviceのデータベースです。
がんを始めとした疾患の個別化医療を目指し、将来的に医療・研究へデータの提供が行われるそうです。TopMed プログラム: https://www.nhlbi.nih.gov/science/trans-omics-precision-medicine-topmed-program
ゲノム以外にもマルチオミクスデータを収集しています。(データが多すぎて解析が追いつかないほどだそうです。 )genes for good:Genes for Good
消費者向け遺伝子検査。こちらもtranscriptome、代謝データが集められています。
データを用いて現在は糖尿病、肥満などを対象に解析が行われています。
データ閲覧も可能です。 "Bravo":https://bravo.sph.umich.edu/freeze5/hg38/UK biobank and Pharma Pharma consortium: UK Biobank
製薬企業も参加するコンソーシアムで、5万人以上の参加者を目指しています。
スペシャルセッション "Special Session: Data Sharing" では、
ショートリードシーケンスによるゲノムデータのほか、ロングリードのデータや、-omicsデータの蓄積が有用であることや
データのみならず、優れた解析アルゴリズムの共有が必要だという指摘がありました。
データの共有・アクセシブルポリシーについては、セッションでも意見が分かれる点でしたが、
国の法律や国際的な規則も今後決定していく可能性があり、それに対応していく必要がありそうです。
今日の余談
国際ゲノム会議(6月25日〜27日)の翌日からは、大阪でG20サミットが開催されていました!
ゲノムデータのSharingも話題に挙がった...かもしれませんね(・ω<)