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さてもう二月になってしまい、時流に遅れている感満載ですが、年末年始は、それまでの一年を振り返り、これからの一年を考える機会ですね。2016年を振り返るとNGS技術が多様化し、様々な分野で活用され始め、生命科学データ解析の裾野が広がってきていることを感じた一年でした。
そんなNGS技術活用の一面として、がん免疫治療法におけるNGSデータ解析を、論文をもとに取り上げてみたいと思います。
Computational genomics tools for dissecting tumour-immune cell interactions
がんにおけるNGSデータ解析利用は、当ブログでも何度かご紹介しているとおり、多く行われています。 WGSを用いた体細胞変異解析やコピー数解析、主要ながん遺伝子のみに注目したtargeted-sequencing、RNA-seqを用いた融合遺伝子検出…etc。ICGC、TCGAなどクリニカルなゲノミックデータの蓄積も進んでいます。 しかし、actionableな変異が見つかるとは限らず、またがんは免疫チェックポイントの働きを促進することにより免疫システムの標的を逃れることもわかってきました。
がん免疫治療法(cancer immunotherapy)とは、「免疫チェックポイントのブロッカーや治療用ワクチン、用途のため設計されたT細胞等を用いて特定のがん細胞を標的として攻撃するよう免疫システムを活性化する」ことによりがんを治療する方法です(上記論文からそのまま訳しています)。
この連載では、論文に取り上げられている以下の5つのトピックについて簡単にご紹介していきます。
1) 腫瘍と免疫の相互作用
2) オミクスデータ解析の概要
3) 免疫細胞浸潤の細胞作用機序
4.1) 腫瘍抗体の同定
4.2) T細胞受容体(TCR)のプロファイリング
5) 解析パイプライン