「極限環境微生物」とは一般的な生物が生育できないような「極限環境」でも生育可能な微生物のことです。
例えば、80℃以上の温度で生育する「超好熱菌」や、pH10以上のpHで生育する「高度好アルカリ性菌」などが存在し、他にも好塩菌、好圧菌、有機溶媒耐性菌、放射線耐性菌などが知られており研究されています。
映画「シン・ゴジラ」では、ゴジラの細胞(核融合が行われている極限環境で一般的な生物が生育できない)に共生している極限環境微生物が登場しました。
劇中では、この極限環境微生物が自身の生成物(どういったものかは詳しく言及がありませんでした)によって、ゴジラの元素転換反応を抑制し生育していることが判明し(基礎研究)、クライマックスではこの生成物と血液凝固剤を使ってゴジラを停止させる作戦が行われました(応用研究)。
上記は劇中の話ですが、現実においても極限環境微生物の研究では基礎研究から始まりその生成物の応用研究・実用化も多数行われてきました。
例えば、私が研究していたような好アルカリ性細菌においては、その菌体外酵素(細胞外に分泌され働く酵素)がアルカリ環境でも高い活性・安定性を持つため、現在ほとんどの洗剤に添加されており、皆さんの生活を便利なものにしてくれています(『好アルカリ性Bacillus属細菌とその酵素の研究開発動向』https://www.chs.nihon-u.ac.jp/institute/nature/kiyou/2017/52/26.pdf
や、『洗剤のサイズを10分の1にした男の「波瀾万丈な研究生活」がすごい』https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59091などに詳しい)。
また、PCRでは好熱菌由来の耐熱性DNAポリメラーゼが使われていることが有名です。
このように生物は我々が思いもつかないような多様な能力を持っており、その能力を解き明かすことは、豊かな社会の実現につながります。
アメリエフでは基礎研究から応用研究までの多様な生命科学研究を最先端のバイオインフォマティクス技術を用いてトータルで支援してまいりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。