アメリエフの技術ブログ

Amelieff Staff Blog

梨とソーシャルディスタンス

こんにちは,h--ishです.
今年は梅雨が長く,7月は比較的涼しかったと思いますが,8月は暑いですね...
炎暑酷暑のみぎり,皆様のご健勝とご自愛をお祈り申し上げます.


早速話題にはいっていきたいと思います!!
最盛期はもう少し先ですが,そろそろ梨の季節ですね.(梨といえば,ガリ○リ君梨味が大ヒットしましたね.)
昨今感染症予防対策でソーシャルディスタンスが叫ばれておりますが,
実は梨に関してもソーシャルディスタンスがあるので
今回は「梨のソーシャルディスタンス」についてお話します.

昨今の社会の文脈から,「ソーシャルディスタンス」と聞くと感染症を思い浮かべる方が多いと思います.
その通りで,人間と同様,植物もカビ・細菌・ウイルスなどに感染して病気になります.
植物では主にかびが寄生されることで,病気が引き起こされます.

植物が病気にかかると,
葉っぱが落ちたり,成長が抑制してしまったり(病気によっては異常に生育する場合もある),枯死したりします.
農作物の場合,収率の低下は致命的です.


梨もいろいろな病気にかかりますが,
今回フィーチャーするのは「ナシ赤星病」です.
Gymnosporangium 属のカビの一部(以後,「ナシ赤星病菌」)によって引き起こされる病気です.
ナシ赤星病にかかると,葉の表側は赤・黄色の斑点(下画像のボードの上段左)ができて葉の裏に毛みたいなもじゃもじゃ(下画像のボードの上段右)が出来ます.


f:id:h--ishi:20200817112734j:plain 参考画像(僕が学生だった頃,学会に行った時に撮った写真)


このナシ赤星病菌はナシだけでなくて,ビャクシン類の樹木にも感染します(この場合,ビャクシンさび病と言ったりします).(上画像のボードの下段)
ビャクシン類というのは,園芸植物として庭によく植えられているリンク先のような樹木です.
www.shuminoengei.jp

ナシ赤星病菌は,
「ナシ(春)→ビャクシン類(冬)→ナシ(春)→ビャクシン類(冬)→...」
のように交互に宿主を移動しながら,それぞれに感染していきます.


ここまでの説明でピン!と来た方もいると思いますが,
ナシさんの近くにビャクシンさんを植えていると,ナシさんが病気になる可能性が高くなります!!!

そのため,ナシを名産としている自治体では
「ナシの農場の近くに,ビャクシン類を植えてはいけません」という条例が実際に制定されているところもあります.
僕は「あっ!ソーシャルディスタンスだ!」と思ったわけです!!! 以下,千葉県八千代市の例です. www.city.yachiyo.chiba.jp

今回の話は
同一の1種間ではなくて,異なる2種間でのお話なので厳密にいうと違うかもしれませんが...
ナシの病気とナシのソーシャルディスタンスについてお話しました.