その数学が戦略を決める
その数学が戦略を決める
山形 浩生
世の中には専門家と呼ばれる人たちがいます。ワインの価値を決める専門家、政府の政策決定の専門家、映画の脚本家、病院で患者を診察する先生、裁判所で判決を言い渡す裁判官…。我々が、何か情報を得たい時は彼ら専門家の意見を参考にすることが多いでしょう。ところが、専門家に聞くよりも、正確な判断が得られる方法があるとしたらどうでしょうか。しかも、まだ起こっていない事象に対してまで正確な判断が下せるとしたら。
この本は、様々なデータの蓄積を利用し、回帰分析等の統計的手法(本書では絶対計算と呼びます)を駆使することで、専門家の予測よりも確実な結果を下せることを示す衝撃的な本です。
例えば、冒頭にはその年のワインの味を「飲む前に」絶対計算を用いて予測した結果が、実際の評価とよく一致する話が書かれます。それ以外にも、次から次へと専門家を圧倒するデータが示されます。
私はこの本を読んで、大量のデータと統計の力を持つものが世界を制することになるだろうと感じました。日本でもビッグデータの活用が叫ばれて久しいです。統計の圧倒的な力を見せつけられる本書を読んでおくことは、この時代を生きるビジネスパーソンにとって必須事項ではないかと思います。