アメリエフの技術ブログ

Amelieff Staff Blog

10x genomicsのGemCode技術

去年、The Scientist誌が選んだ革新的技術トップ10(Top 10 Innovations 2015)の1位を飾った技術、それが、スタートアップ企業10x genomicsが開発した、「GemCode」と呼ばれる次世代シーケンサーの新しい前処理技術です。

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GemCodeの技術を簡単に説明すると、 Illuminaシーケンサー等によって得られるショートリードから、合成的にロングリード(Linked readsと呼ばれる)を生成するというものです。従来のIlluminaの次世代シーケンサーが苦手としていた「大きな欠失・挿入部位の解析」、「転座・融合部位の解析」や「HLAなどの高度な多型性を持つDNA領域の解析」を精度よく行うことができます。

 

方法としては、
(1)それぞれ異なるバーコード配列が付加されたゲルビーズのライブラリの液滴
(2)試薬と混合させたナノリットル(nl)のスケールのDNA分子の油液
をマイクロ流路を使って混合させます。(1)と(2)が合わさることで、10-100kbほどのDNA分子が断片化され、各DNA配列に同一のバーコード配列がライゲーションされます。このようにして、バーコード配列をライゲーションさせたDNA配列をIlluminaのシーケンサーで読みます。

 

このとき、同一のバーコードを持つDNA配列(シーケンスリード)群は、
(1)ゲノム上で近接している
(2)(母方もしくは父方の)同一ハプロタイプに由来している。
ことが想定されます。そのため、シーケンスされたリードをゲノムにマッピングし、local de novo assemblyを行うことで、合成的にに長いDNA配列(10-100kb前後)を構築することができるというわけです。

 

「でもお高いんでしょう?」

 

そんなことありません! 10x Genomicsによると、従来のIlluminaのWGSやExomeと同様のリード数(Coverage)で解析が可能とのことです。つまり、ランニングコストとしては通常のIlluminaのシーケンスと同じぐらいと考えてよさそうです。

 

さらに、ゲノムDNAは「1ng」からシーケンスできます。 現在のIlluminaの手法と比較しても、かなり少量でも試せます。
比較対象:http://dnatech.genomecenter.ucdavis.edu/sample-requirements/

 

Illuminaのショートリードの弱点を補完するGemCode技術。 様々な解析での活用が期待できると思います。

 

アメリエフでも、10x genomicsの技術により得られたシークエンスデータの解析を試しているところです。興味はあるけどシーケンスされたデータをどうやって解析したらいいかわからないという方は、一度アメリエフに相談してみてはいかがでしょうか。

 

執筆者自己紹介・インターンシップ感想

はじめまして、アメリエフにインターンに来ているimamachi-nです。 アメリエフでは、融合遺伝子の解析レポートや10x Genomicsの調査などを行ってきました。

 

私は大学では実験を行いつつ、Linux、PythonやRなどを利用してNGS解析も行っています。ただ今まで、PythonやRのコーディングに関しては独学でやっていたので、恥ずかしながら適当なコードを書いていました。アメリエフでは、書いたスクリプトを社員の方に繰り返し確認していただき、修正すべき点をチェックしてもらいました。また、Pythonでコーディング規約に即した書き方をしているかflake8を使いチェックを行う方法も教えてもらいました。今まで適当に書いていたスクリプトを見なおすことで、無駄のない効率的なコードや、あとで見直した時に可読性の高いコードを書く方法を学ぶことができました。

 

社内で使用していたSlackは、今では私の研究室でも試験的に導入しています。NGS解析について結果やデータの共有、ディスカッションを行う際にSlackを活用しています。今まではメールでやり取りしていたのですが、Slackを使うことで今まで議論してきたことなどがログとして残るので便利です。

 

社員の方と一緒に仕事ができるという点で、非常に充実したインターンシップだと感じました。 NGSの解析に興味がある方にとっては、アメリエフのインターンシップは最適だと思います。もちろん、アメリエフで働きたいという方も会社の雰囲気をつかむ上でインターンシップに参加するメリットは大きいと思います。

 

 

    • 社員一人ひとりのモチベーションが高く、新しいことにどんどんチャレンジしていく風土がある。

 

    • 新しいNGSの技術が出てくる中で、迅速にそれらに対応し、バイオインフォマティクスの専門家として適切な解析方法を提案できる。

 

    • ウェットの研究者が抱えるデータ解析上での課題に対して、綿密に対応してくれる。

 

 

それがアメリエフという会社だとインターンシップを通して感じました。