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IgBLASTのラッパーMiGMAP

抗体のV(D)J配列のマッピングする場合には、BLASTのアルゴリズムを利用したIgBLASTはとても便利です。

しかし、FASTQファイルが使えないことや、出力結果が独自フォーマットであることなどから、扱いづらいと感じることもあります。

また、ローカルで実行する場合はデータベースを準備するのが面倒だったりします。

そんな難点を解消してよしなにしてくれるのがMiGMAPです。

特徴

  • FASTQファイルを入力として使える(クオリティによるフィルタリングができる)
  • クローンタイプごとの頻度集計をしてくれる
  • V, D, J各セグメントにおける変異を、塩基配列、アミノ酸配列それぞれでレポートしてくれる
  • 下流解析としてsomatic hypermutation(体細胞超変異)のサマライズ、クローンタイプのネットワーク図が作れる

インストール

MacOS と Linuxの場合は Homebrew/Linuxbrew か biocondaでインストール(IgBlast1.4.0が一緒にインストールされます)ができます。

Homebrew/Linuxbrew

brew tap mikessh/repseq
brew install migmap-macos # or migmap-linux

bioconda

conda install migmap

基本的な使い方

java -jar migmap-1.0.2.jar -R <gene> -S <species> sample.fastq.gz out.txt

-RオプションでIGH, IGL, IGK, TRA, TRB, TRG, TRDから遺伝子を指定(複数指定する場合はカンマ区切りで指定)

-Sオプションでhuman, mouse, rat, rabbit, rhesus_monkeyから生物種を指定

※実行にはJava1.8が必要です。

※Homebrewでインストールした場合は、JARファイルを指定しなくても単純に migmap コマンドで実行できます。

リードごとに出力する場合

--by-readオプションをつけるとリードごとに結果が出力されます。

java -jar migmap-1.0.2.jar --by-read -R <gene> -S <species> sample.fastq.gz out.txt

下流解析

体細胞超変異のサマライズとクローンタイプのネットワーク図を作成するには下記のコマンドを実行します。

※下流解析実行前にコンティグのマージとエラー補正を実行することが推奨されています。

モジュールを実行する際は-jarではなく、-cpを指定します。

java -cp migmap-1.0.2.jar com.antigenomics.migmap.Analyze -R <gene> -S <species> out.txt out

出力される out.shm.txtからRを用いて体細胞超変異のsilent:replacement (S:R)比で色分けしたスキャッタープロットを描画できたり、

shm.png (135.7 kB)

out.net.txtout.node.txtout.edge.txtからCytoscapeを用いてクローンタイプのネットワーク図の作成ができたりします。

scatter.png (860.9 kB)

MiGMAPはオプションが多く、下流解析までできる便利なツールなのでIgBLASTを使っている方、使おうと思っている方は一度使ってみるとよいかもしれません。

以上、最近カワウソを飼いたいonouekからでした。