こんにちは、受託コンサルティングチームの hosor です。
前回 は空間的遺伝子発現解析の基本的な概念を解説しましたが、今回はシーケンスベース (Sequencing-based, NGS-based) のプラットフォームを深掘りします。
より具体的には、現在主流となっている以下の3つのプラットフォームについて、その特徴や違いについて解説します。
Visium (スタンダード・低コスト)
Visium HD (高解像度)
Stereo-seq (広範囲・高解像度・高コスト)
※ 本記事は、各技術の一般的なユースケースを基にしています。ただし、プラットフォームごとに例外やアップデートが多い世界なので、細かい特徴は必ずしもここでの説明通りではありません。"大まかなイメージ" として読んでいただければ幸いです。また、詳しい内容は弊社にお問い合わせください。
復習|シーケンスベースとは
位置情報を示すバーコード付きスライドで組織内の遺伝子発現の位置を特定する技術です。
長所は網羅的に遺伝子を探索できること、短所はプラットフォームやバージョンによっては個々の細胞を区別することができない場合があることです。
Visium (10x Genomics 社)
直径 55 µm のスポットで、数個から十数個の細胞集団ごとの遺伝子発現を捉えることができます。
解析面積は 6.5 x 6.5 mm または 11 x 11 mm です。
他のプラットフォームに比べて安価であるため、まずは全体像を把握したいという場合に適しています。
なお、Visium には 対象生物種やサンプルの状態に応じて 2 つのアッセイ (Visium v2 WT Panel, Visium v1 3’) が用意されています。

解析例


図は以下より抜粋しました。
Analysis, visualization, and integration of spatial datasets with Seurat • Seurat
Visium HD (10x Genomics 社)
上で記載した Visium と名前が似ていますが、より解像度が高いプラットフォームとなります。
Visium では直径 55 µm のスポットを使用しますが、Visium HD では 2 µm 四方の正方形が発現情報を取得します。
そのため、細胞間の詳細な相互作用を解析したい場合に適したプラットフォームだと言えます。
解析面積は 6.5 x 6.5 mm です。
なお、Visium HD にもVisium と同じく 2 つのアッセイ (Visium HD WT Panel, Visium HD 3’) が用意されています。

解析例


図は以下より抜粋しました。
Analysis, visualization, and integration of Visium HD spatial datasets with Seurat • Seurat
Stereo-seq (MGI 社)
ナノボール技術によるサブセルラーレベル (~220 nm) の高解像度と、13.2 x 13.2 cm の広範囲な解析面積を両立するプラットフォームです。
比較的高額とはなりますが、臓器全体のような広い領域を高い解像度で解析したい場合に向いています。

解析例


図は以下より抜粋しました。
Quick Start (Square Bin) - Stereopy
まとめ
ここまで、空間的遺伝子発現解析のうち、シーケンスベースの代表的なプラットフォームについて解説しました。
次の記事では、イメージングベース (Imaging-based) のプラットフォームの深掘りをしていく予定ですので、ご期待ください。
空間的遺伝子発現解析でお困りごとがございましたら、アメリエフにお気軽にお問い合わせください!
